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Fujiya 1935@大阪 [食べる]

祝2つ星である。星取りの前に訪問。
客席数に比べて人が多いので尋ねたら、増員したばかりだとのこと。タイヤ屋さんが写真は撮りにきたとの事だったので、その時点で星を取る事はわかっていて、その対応だったのかなと後から思い返した。 以前、予約で2回振られているので、今回はまずここを押さえたのである。

店の奥にある厨房の中は4人体制。スーシェフは奥様だそうだ。若い男の子はまだ入ったばっかりということだが、辻調のフランス校(だったよな)からミッシェルブラスで研修生をやってきた人だそうだ。しかしここで昼はパスタランチやっているとは、とてもイメージできんなあ。

テーブルにはメニューが置かれており、料理の名前から実体を想像して愉しむのである。

まずは泡 (Delapierre Brut、CABAですね、マカベオ60%、パレリャーダ30%、チャレッロ10%らしい)
メニューを見ても1種類のワインでは無理がありそうなので、グラスワインのコースでいく事にする。グラスはSpiegelau。
La Cappuccina Fontego
Tre Monnti Vigna rio trebbiano
Kirios de Adrada 2007 Ribera del Duero
    
飲み過ぎでワインの味は全然憶えてません。赤が変化して面白かった。


磯の香りの風船、フランとイクラ
モヒートの軽いシャーベット
鮎の化石
チーズに埋め込んだプチトマト
ピスタチオのスナック
堀りたてのラディッシュと子持ち鮎
気泡をたくさん含ませた栗のパンとルコラの新芽
フィルムに包んだ熱い牛肉と松茸のエキス、トリュフ風味のカプセル
ピュアなオリーブオイルとトマトのスープ
ストロッツァプレッティ、渡り蟹とミモレットのソース(S字のパスタ)
シャラン産鴨、落花生、万願寺唐辛子のエキス
藤井寺産イチジクとバラ風味のゼリー、イチジクのジェラート
軽く仕上げたティラミス
小さく丸めた桃
生ホワイトチョコレート バジル風味、巨峰の果肉のソーダ

エスプレッソを飲んだ様な

最後はシェフのお母様の作られたという食後酒である。全部どうぞと言われて意地汚く全部飲んでしまったので、料理の感想等が所々飛んでいるのである。うむ、困った事である。


なんじゃこりゃと驚かせてくれるメニュー(いささかこけおどし的な物もあるが)である。たいがいの西洋料理は食べたという人は是非一回行ってみると良い。モダンスパニッシュという物が如何なるものかが体感できると思う。ただし、クラッシカルなフレンチが好みという人にはむいていないかな。色々なレビューを読んでいたのでいささか拍子抜けした部分もあったのだが、十分楽しめたからいいや。

モヒートの軽いシャーベットはまさにモダンスパニシュの面目躍如という所か。上辺を切った卵形の磨りガラスの容器に、泡立てて凍らせたソルベがあり、口に入れるや否やたちまち溶けて舌の上にソルベの味が弱く残るのである。面白〜い。

牛肉は透明なフィルム(ラップですか?)につつまれ、ぐつぐつでやってくる。それとは別にカプセルに入ったトリュフのエキスが添えられる。

料理が客前に来た時点では料理の香りは全くないのである。つまり、透明なフィルムに入っているので料理は見える、つまり視覚は満たされて、料理を認識しているのであるが、嗅覚は満たされていないのである。ここにいささか奇妙な感覚の不統合という非日常的な状況が出現するし、感覚の統合に対する無意識の飢餓感が形成されるのである。ちょっとした料理の説明があり、あっけなく牛肉の包みに鋏が入れられて、初めて肉と松茸の芳香が出現するのである。更にそこに、客の好きなタイミングでトリュフの芳香を加える事が出来るのである。ここに至って、肉体的な食欲と感覚の飢餓感が満たされ得るのである。う〜む、この料理は頭でも食べるのか。形式としては、グランメゾンで蓋して持ってくるやつのより大胆なモダンスパニッシュ風再構成といいっていいんでしょうかねえ。と、妄想を書き連ねてみる。外国でならこの香りの出現の所は相当大げさにもったいぶったパフォーマンスをやるんじゃないかと思うんだが、ここ日本では慎み深くあっさりと鋏で切っちゃった。勿体ないなあ。料理が普段の料理と違って意表をつくのであるから、給仕の方も、まさか、逆立ちしてもってこいとはいわんが、料理をより魅力的にプレゼンテーションできる様な工夫があればと思うのだ。ま、実際は牛肉がちょっと個人的にに好みでなかったのでいまいちだったのであるが、発想は堪能した。


トマトのスープはトマトが透明なパターンね。知らないとちょっと驚くだろうけど、経験があるとね。こういうのは陳腐化が激しいからむつかしいデスネ。トマトの味がちょっと違って、酸味が弱いのかな。味の伝わり方が違う。一工夫してますが企業秘密ですと言ってた。

ストロッツァプレッティは断面がs字型をしたショートパスタ。これは昼とは違い渡り蟹の旨味が良く出てた。パスタの茹で加減もいい。

鴨はいい火入れだ。かけてあるのはオイルに唐辛子の辛みとピーナッツの香りを、アラミニュットで移したもので、甘みがある。鴨にはちょっと甘めがいいのは伝統ですか。僕的解釈では即席のラー油、ピーナッツ風味。

デザートはバラが良く香ってたなあ。器は泡のはいった中空のもの。よく使われる様になってきている様な気が。


女性とか一応フレンチとかを一通り食べている子供を連れて行ったりするととても面白い反応が楽しめるかもしれない。いずれにしろ食べるという事にこれだけ知力を使うのは面白い。おじいちゃんの練習が体より頭が疲れるというくらいだったのと同じなんだろうか。たまにはこんな店もいいかもしれない。





通常のランチは星とってもやり続けるのだろうか。少しゆとりをもって、もっと面白い発想の料理に取り組んで頂けた方が、食べる方としては愉しみなのであるが。



Fujiya 1935
大阪府大阪市中央区鎗屋町2-4-14 06-6941-2483
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